(独)産業技術総合研究所は8月4日、(株)東芝、東芝三菱電機産業システム(株)、首都大学東京、茨城工業高等専門学校と共同で、電力の周波数や電圧を利用目的に応じたものに変える高電圧・大容量電力変換器を小型・高速化する技術の開発に成功したと発表した。 P型とN型の半導体を接合した従来のPN接合シリコンダイオードに換え、PN接合間に真性半導体(i層)と呼ぶ第3の層を挟んだPiN型の炭化ケイ素ダイオードなどを用いることで、動作の素早さを示すスイッチング周波数が4倍に向上した。これに伴い、設置面積を約5分の1に縮小できるという。 高電圧・大容量の電力変換技術は、電力、産業、鉄道などの社会インフラを支える重要な技術として小型化、高速化、高能率化が求め続けられている。今回の共同開発に参加した5機関は、電力変換器の高速化を妨げている技術的問題突破のため、スイッチング特性に優れた高耐電圧の炭化ケイ素PiNダイオードと大電力のオン・オフ制御に用いられるIEGTという半導体素子を組み合わせた高速スイッチングモジュールを共同研究体制を構築して開発した。 炭化ケイ素のPiNダイオード採用でスイッチング周波数が500ヘルツから2000ヘルツに向上したことで場所をとる絶縁変圧器が不要になり、高速化で出力波形が改善され波形歪を除くためのフィルターの数も減らせた。 実際、このモジュールで直流電圧プラス・マイナス5000V、容量300kVA(キロ・ボルトアンペア)の電力変換器を試作、性能確認した結果、10メガ(メガは100万)VA級の場合、設備の設置面積を従来の約80m2から同16m2に小型化できる見通しを得た。 詳しくはこちら |  |
試作したPiN型炭化ケイ素ダイオード(提供:産業技術総合研究所) |
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