国立環境研究所は6月10日、首都大学東京と共同で、同大学が開発した大気質診断装置を用い、最新の排気ガス規制適合車から排出される排気ガス成分の分析を行なったところ、排気ガス中に従来の分析方法では検出されていない未知の化学物質(OH反応性物質)が17%程度含まれていることが分かったと発表した。
自動車などから排出される揮発性有機化合物(VOC)は、数百の炭化水素などから構成され、その光化学反応性も多岐にわたっているが、これまでは総炭化水素(THC)としての排出規制が適用され、大気環境の改善に役立てられてきた。
しかし、THCが大幅に低減された現状でも、光化学反応による汚染物質の低減は思わしくないことから、これまでの手法では把握できない成分の存在が疑われている。
そこで、新開発の大気中成分の光化学反応性を評価する手法を自動車排出ガスに適用し、直接、排ガスの反応性評価を試みたもの。その結果、未計測のVOCなどが17%程度存在していることが示され、排気ガスを診断する指標としてOH反応性物質を計測することが必要であることが分かったとしている。
今後、適用範囲を拡大して排気ガスの反応性についての実態を把握することにしている。
No.2009-23
2009年6月8日~2009年6月14日