「H-IIB」ロケット試験機の開発状況を宇宙開発委に報告
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は6月10日、開発中の次世代「H-IIB」ロケットの1段目の「実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)」の結果と、次の段階の「地上総合試験(GTV)」の実施計画を同日開かれた宇宙開発委員会に報告した。報告によると、CFTは、4月に実施され、所定の技術データを取得して無事終了、現在GTVに向けたロケットエンジンと固体ロケットブースターの取り付け作業が進行している。
 4月の2日と22日にJAXA種子島宇宙センター(鹿児島)の実際にH-IIBを打ち上げる発射台で行なったCTFでは、飛行用のエンジンの代わりにCTF用エンジンを用い、固体ロケットブースターも本番では4基装備するところをダミー2基を装備して行なった。燃焼時間は、2日が10秒、22日は150秒だった。
 現用の「H-IIA」ロケットでは1基なのを2基にした1段目の「LE-7A」エンジンは、正常な立ち上がりを示し、液体酸素タンクの圧力特性も問題ないことを確認した。
 ただ、1段目の機体中央部で一部の機器とバルブに振動が大きいことを示すデータが出たため、この点については改めて振動試験などで耐久性の確認を行うとしている。
 次のGTVでは、ペイロードの宇宙ステーション補給機(HTV)などはセットしないが、それ以外は打ち上げの本番同様に機体と射点設備を組み合わせ、打ち上げまでの作業性と手順を確認する。CFTに使用した1段目エンジンを新品の飛行用エンジンに取り換える作業は、すでに5月中に終えている。
 ダミーでない実物の固体ロケットブースターを本番同様4基取り付ける作業が終われば、機能試験を経て、7月初旬にもカウントダウン作業リハーサルを実施する予定。

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4月に行われた「H-IIB」ロケット1段目の実機型タンクステージ燃焼試験の様子(提供:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業)