(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月11日、約1年半に亘って月の周りを飛行しながら様々な観測を続けて来た月周回衛星「かぐや」の観測が終わったので、月面に計画に従って制御落下させたと発表した。 落下時間は、日本時間の同日午前3時25分。落下地点は、月面の南緯65.5度、東経80.4度の「ギル」クレーター付近。同地点は、地球から見える月面の日陰部分で、僅かだが衝突時の閃光を観測出来た可能性があり、JAXAは国内外の観測者に「かぐや」衝突時の月面撮影結果の提供を呼び掛けている。 「かぐや」は、月の起源と進化を解明する科学データ取得と、今後の月周回軌道投入技術などの実証のため、平成19年9月14日にJAXA種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げた。「かぐや」は、月の南北極を通る高度約100kmの極軌道を回りながら、同年12月から14種類の観測機器で月球全体の精密な地形や地下構造、重力分布などを観測したり、月の地平線から昇る「地球の出」をハイビジョン撮影したりした。観測データの解析は、まだ2割程度しか進んでおらず、総合的な成果が得られるのはこれから。 「かぐや」は、昨年10月で定常運用を終え、その後は周回高度を下げて、後期運用を続けていた。制御落下当日は、落下約45分前、月の北極上空約80kmでエンジンを噴射して減速、秒速1.6kmで計画地点に落下させた。計算では、この衝突で直径10m、深さ1m程度のクレーターが出来たはずという。 なお、「かぐや」と共に打ち上げられ、その観測を支援してきた2個の子衛星(いずれも月周回型)の内、「おきな」は既に今年2月12日に月の裏側に落下。もう一つの「おうな」は、飛び続けているが運用は間もなく終わる。 詳しくはこちら | |
月面上空の「かぐや」の想像図(上)と、同衛星落下地点の地形(下、星印が落下場所)(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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