期待の生理活性物質「HMF」の連続合成法を開発
:産業技術総合研究所/北海道立工業試験場

 (独)産業技術総合研究所は4月20日、北海道立工業試験場と共同で、生活習慣病に効果が期待される高純度の「ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)」をグルコース(ブドウ糖)などの安価な糖類から、素早く高収率・高純度で連続合成する新製法を開発したと発表した。
 HMFは、血圧降下作用(血液サラサラ効果)や、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)、高血圧、糖尿病などの改善効果が期待されている生理活性物質だが、これまでの製造法は効率が悪く、大量に生産できない問題があって価格が高かった。
  新製法は、高温高圧水と糖類を含む水溶液を瞬時に混合して、それを瞬時に昇温(400ºC)、冷却(25ºC)できる高温高圧マイクロリアクターを開発、加熱・冷却の時間を限りなくゼロに近づけ、必要な温度・圧力・時間を精密に制御することで、副反応や生成物の分解を大幅に抑えた。これにより、HMFを収率70%以上、純度80%以上で連続的に製造することが初めて可能になった。反応時間は10秒以内で、連続反応なため生成物は直ちに冷却され、生成物の熱分解反応が少ないのも特徴。
  有機溶媒を用いず水を溶媒にする高収率・高選択率の環境にやさしい製造プロセスを実現したことから、得られるHMFは不純物のために若干着色するものの、特殊な精製をせずそのままでも飲食料品への応用が可能という。
 今後は、さらに省エネ型や小型デスクトップ型など、より安価なHMF製造装置の実現を目指し、共同研究を希望する企業を募って開発を進める方針。

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新製法で合成したHMFの水溶液。未精製のため着色している(提供:産業技術総合研究所)