(独)農業生物資源研究所は3月4日、イネのいもち病菌の「EST(発現遺伝子標識)」と呼ばれるDNA(デオキシリボ核酸)配列を約35,000配列解読することに成功、その解読したESTをデータベース化してウェブサイト(http://mg.dna.affrc.go.jp/)上で公開したと発表した。解読した約35,000のESTは、国際DNAデータバンクに登録済みで、イネいもち病の発生メカニズム解明に大きく貢献するものと期待される。
いもち病は、稲作に深刻な被害をもたらす病気で、その原因であるイネいもち病菌がどのようにイネの病害を引き起こすかを解明することが世界的な課題になっており、イネいもち病菌のゲノム(全遺伝情報)の解読は2005年に完了している。しかし、イネいもち病菌のもつ遺伝子の構造や機能については、まだ十分に解明されていない。
ESTは、遺伝子の一部に当たる短いDNAの配列で、この数百のDNAからなる配列を目印(標識)として利用することにより遺伝子の存在箇所の特定や特徴などを明らかにすることができる。
公開したデータベースには、解読したEST配列のほか、コンピューター解析によって得られた遺伝子の構造や機能に関する情報が収納されている。
また、このデータベースは、遺伝子の名前や機能に関連するキーワードで簡単に検索でき、検索結果が分かりやすく表示されるよう工夫されている。