液中の分子ジェットの移動機構を解明:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は3月4日、液中の分子の移動プロセスを「時間分解シャドグラフィー手法」と呼ばれる方法を使って撮影することに成功、これまで未解明だった液中での分子ジェットの移動機構を解明したと発表した。
 時間分解シャドグラフィー手法とは、物質が移動する際、その物質自身と周りの物質の光の屈折率の違いで得られるイメージ像を超高速度カメラなどで時間分解撮影する手法のことで、物質がどのように移動しているかが分かる。
 現在の電子デバイスやセンサーより性能の優れた将来の分子デバイスや超高感度ナノセンサーアレイなどを作成するには、必要な機能を持った分子を、金属や半導体などの固体基板上の決められた場所にナノレベルで配列・固定する手法が確立していなくてはならない。その手法の一つに液中分子ジェットを用いる分子固定法がある。この手法は、同研究所が開発した。
 この方法では、パルス幅が非常に短いパルスレーザーを有機薄膜に照射、液層を介して分子を移動させ、その分子構造を壊すことなく、分子を対向する固体基板にナノレベルで固定・配列したり、穴をあけたりすることができる。
 しかし、分子が液層中でどのようにして分散しないで対向基板に到達するのか、なぜ固体基板に穴を開けられるのか、はこれまで解明されていなかった。
 その分子ジェットの移動機構を解明したわけで、この成果は、機能分子を様々な固体表面へ固定する際の固定領域の更なる微小化や次世代の微細加工技術などへの応用が期待される。

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