(独)農業・食品産業技術総合研究機構は2月26日、製粉性に優れた小麦の新品種を開発、「ふくはるか」と名付けたと発表した。
この小麦は、既存の品種に比べると、(1)コシがあって、喉(のど)ごしの良い、おいしい麺が作れる、(2)製粉しやすく、製粉歩留まり(小麦粉の収率)が高い、(3)収穫時期が早い上に、倒れにくく病気に強いため栽培しやすい、などの特徴を持つという。
「地元産の小麦で、そうめんを作りたい」との要望に応えようと同機構の近畿中国四国農業研究センター(広島・福山市)が開発したもので、近畿・中国・四国地域の特産品である、そうめん、うどんの「地産地消」を実現させ、国産小麦の生産拡大につなげたいと同機構では期待をかけている。
日本は、雨が多い上に小麦の収穫時期が梅雨入りと重なることから、得られる小麦の品質が低下しやすいという地理的ハンデを負っている。このため、北米などからの輸入小麦に品質的に圧倒され、自給率は14%にすぎない。
新開発の小麦は、1997年に2つの研究用品種を交配して作った品種をベースに年月をかけて選抜を重ね実現したもので、最初の交配から命名までに12年かかった。
「ふくはるか」の名は、地域農業と地場産業、消費者の3者に福をもたらす春の香り高い小麦になるように、との思いを込めて付けたという。
No.2009-8
2009年2月23日~2009年3月1日