(独)産業技術総合研究所は2月24日、新しい構造の高性能「リチウム-空気電池」を開発したと発表した。 リチウム-空気電池は、陰極に金属リチウム、陽極の活物質に空気中の酸素を使う燃料電池。これまでも電気自動車用の次世代の大容量電池の候補の一つとして注目されていた。しかし、反応でできる酸化リチウムが陽極に付着して発電が止まってしまう大きな問題を抱えていた。 同研究所の開発した新型のリチウム-空気電池は、陰極の金属リチウム側と陽極の空気側とを「固体電解質」と呼ばれるリチウムイオンだけを通過させる固体で仕切る新しい構造にすることで、陽極に固体の反応性生物が付着しないようにしてこれまでの問題を克服することに成功した。 この新構造だと、自動車用のスタンドでリチウムが溶け込んでいる陽極の液体(水性電解液)を入れ替え、金属リチウムをカセット式に補充する方式が実現でき、自動車は充電の待ち時間なく連続走行することが可能になる。使用済みの水性電解液に溶け込んだリチウムは、回収し金属リチウムに戻して何度も繰り返し利用できる。 試作した電池は、連続20日間の放電ができ、これまでに報告されている従来型のリチウム-空気電池の約3~13倍の放電容量を記録している。 携帯電話やノートパソコンなどに広く使われているリチウムイオン電池は、電気自動車用としてはエネルギー密度が低く向いていないと見られている。それに対し、リチウム-空気電池は、理論的に大容量化が可能と予測されている。同研究所では、「実用化に向けて技術の向上がさらに必要」としながらも「大容量連続放電が可能なリチウム燃料電池として、さらなる研究開発を進める予定」としている。 この研究成果は、3月31日に京都で開かれる電気化学会で発表する。 詳しくはこちら |