(独)宇宙航空研究開発機構は2月25日、宇宙開発委員会に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の 定常運用段階終了と、これからの後期利用計画を報告した。
「だいち」は、2006年1月24日、「H-IIA」ロケット8号機で打上げた世界最大級の地球観測衛星。同年5月から高分解能の3つのセンサーにより、陸域観測データを全地球規模で収集し、地図作成、地域観測、災害状況把握、資源探査などに利用されてきた。
また、中国の四川省や岩手・宮城の大地震など、大規模災害時の緊急観測で災害状況の早期把握に寄与するなど、安心・安全な社会の構築に貢献してきた。
今回、当初の設計寿命3年間の運用結果を評価し、今後の運用目標である5年に向けた運用計画を立て、後期利用段階に移行することになった。とくに、2009年度からの後期利用段階では、画像の民間ビジネス利用を拡大、地域での産廃監視利用、数値地理情報を取り入れた地形図の防災利用、農水省による耕地把握(全国1都1道2府41県)、環境省生物多様性センターの植生図更新、海上保安庁におけるオホーツク海の海氷速報作成、地震調査研究推進本部や国土地理院における地殻変動評価、大規模災害時の緊急運用体制(処理時間の大幅な短縮)などに貢献できるよう、後期観測計画に沿って着実に後期運用を進めていく方針。
海外に対しては、これまでにブラジル・アマゾンの違法伐採箇所の発見、ラテンアメリカ・カリブ海地域における気候変動への対策強化に貢献したが、今後は欧州、アフリカなどでの利用開拓を行っていくとしている。
「だいち」は、姿勢決定精度、センサー系共、機能・性能を維持。残りの推薬量は、約115kgで、長期の運用・利用が可能と見込まれる。
No.2009-8
2009年2月23日~2009年3月1日