生命の仕組み解明するためのコンピューターソフトを開発
:筑波大学

 筑波大学は1月20日、生命の仕組みを電子レベルで解明するため、巨大なタンパク質や遺伝子の働きをシミュレーション計算する新しいスーパーコンピューター用ソフトを開発したと発表した。
 このソフトは、筑波大学の超並列計算システムでタンパク質やDNA(デオキシリボ核酸)の研究に実際に応用することで有効性が実証されている。同大学では、この計算システムを用いた研究を一層活発化するため、大学内外の研究者に対して共同研究の公募を始めた。
 生命科学や新薬開発のため、コンピューターによるシミュレーションの重要性はますます高まってきたが、タンパク質などの生体分子はサイズが巨大なので、計算がどうしても膨大になる。そこで、量子力学に基づいて複雑な計算(QM計算)をする小さな領域と、化学反応には直接関係せずに古典力学に基づく比較的簡単な計算(MM計算)をする広い領域とに分けて計算する手法が注目されている。
 筑波大学の研究者は、既存のソフトで別々に実行した「QM計算」と「MM計算」の結果を適切に組み合わせて制御する「QM/MM計算インターフェース・プログラム」を新たに開発、従来より高精度な高速計算を可能にした。
 生体分子に対するこの様なソフトは、これまで国内になかった。新ソフトの特徴は、(1)GM領域とMM領域の相互作用を正確に計算でき、(2)通常のQM計算の欠点だった電荷を持たない中性の原子間や分子間でも働く力(ファンデルワールス力)の計算が可能になり、(3)これまでの様なMM原子の個数制限がなくなって、原子100万個でも高精度にシミュレーションすることができる。

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