(独)森林総合研究所は1月22日、東京農工大学、長岡技術科学大学と共同で木材に含まれるリグニンから一般のエポキシ接着剤の3倍もの接着強度を持つ新接着剤を開発したと発表した。 木の成分の30%は、リグニン。しかし、リグニンは、製紙工場などで燃料として使われる以外ほとんど利用されていない。今回の成果は、そのリグニンを使って金属同士を強固に接合する接着剤を実現したもので、木材の残材は勿論のこと、製茶工場で発生する茶ガラなどもリグニン源として有効利用できるという。 新接着剤は、リグニンを低分子化した後、微生物を加えて発酵させ、「PDC」と呼ばれる中間体を作り、そのPDCを化学処理して接着性を持つ分子構造に変えることに成功したもの。ステンレス鋼同士の接着で接着強度は、1cm2当たり約900kgと一般のエポキシ接着剤のおよそ3倍に達することを確認している。 同研究所は、実用化に向け産学官の連携体制を強化すると共に、一層のコストダウンを図りたいとしている。 また、PDCは、接着剤のほかフィルム材料などにも使えると見られ、「今後さらに興味深い新機能が発見される可能性が十分にある」と同研究所では言っている。 詳細はこちら |  |
新接着剤を使って接合したステンレス鋼。大人が乗っても破断しない(提供:森林総合研究所) |
|