特定のDNAを高感度で検出するダイヤモンドセンサーを開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は12月18日、ダイヤモンドの電気化学的特性を用いて特定配列のDNA(デオキシリボ核酸)を高感度で検出するセンサーを開発したと発表した。検出感度は、金などを使った従来型センサーを2~3桁上回り、医療検査や食品安全分析などでの新しい遺伝子検出技術として展開が期待される。
 このセンサーは、ホウ素を注入した導電性ダイヤモンドでできた作用電極(直径2mm)とその対極がイオンを含む溶液中に向かい合って配置された構造をしており、導電性ダイヤモンド電極の表面には「プローブDNA(デオキシリボ核酸)」と呼ばれる1本鎖のDNAが数多く植え付けてある。1本鎖のプローブDNAに相補的配列のターゲットDNA(測定するDNA)が結合して2本鎖を形成すると、DNAがそれだけ太くなるので1本鎖の時よりプローブDNA同士の隙間が狭まり、導電性ダイヤモンド電極にまで到達するイオンの数が減って発生する電流が減少、この変化で特定のDNAを検出するという仕組み。
 ターゲットDNAとプローブDNAとが結び付いてできた2本鎖は、温度を上げると分離するので、1本鎖に戻して再使用出来る。この方法で100回繰り返しても、安定した計測が出来るのを確認している。
 今後は、さらに感度を上げる努力を続ける。その実現には、センサー形状の小型化が重要課題で、形状を500nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)以下にすることを目指している。

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ダイヤモンドセンサーの外観(提供;産業技術総合研究所)