(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月10日、超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を使って、海外に設置した複数拠点の地球局に向けての同報配信(マルチキャスト)実験を行い、正常に伝送できることを確認したと発表した。
これまで「きずな」搭載の交換機によるマルチキャスト機能は、国内向けアンテナを用いて確認していたが、今回は筑波宇宙センター(茨城)に設置した地球局から、タイの国家電子コンピューター技術センターと、フィリピンの高度科学技術研究所に設置した地球局に対し伝送を行い、東南アジア向けアンテナでも正常に動作することを確認した。
また、「きずな」による高速データ伝送の特徴を活かし、月周回衛星「かぐや(SELENE)」搭載のハイビジョンカメラで撮影した月面および地球のハイビジョン映像をマルチキャスト伝送し、タイとフィリピンの実験参加者に対し、日本の宇宙開発状況の紹介もあわせて実施した。これにより特定した多数のユーザーに対して、遠隔教育サービスなどの同報配信が可能になるものと期待されている。
今後は、東南アジア地域に順次地球局を設置してマルチキャスト実験を行い、東南アジア向けアンテナの正常性を継続して確認する計画。
No.2008-44
2008年11月10日~2008年11月16日