(独)産業技術総合研究所は11月14日、タンクやパイプラインなどの構造物に潜んでいる「見えない」欠陥と、その危険レベルをその場で可視化する技術を開発したと発表した。 構造物の異常や危険の検知には、X線や超音波を使った非破壊検査が広く用いられているが、欠陥の危険レベルを判定することは非常に難しい。欠陥の危険レベルを知るためには、欠陥と同時に応力場と呼ばれる応力の空間的な分布の異常を検出する必要があり、これまで欠陥と応力場の同時検出は困難だった。 新技術は、構造物の表面に、機械的な刺激で光を発する「応力発光」と呼ばれる現象を示す微粒子を含んだ塗料を塗布し、構造物に加わる力や振動などによって生ずる表面の発光強度分布から構造物表面には現れない「見えない」亀裂などの欠陥の発生や存在をリアルタイムで可視化。同時に欠陥の応力場・危険レベルを可視化するというもの。 応力発光の一例としては、氷砂糖が砕ける際に一瞬光る現象が古くから知られている。同研究所は、強い応力発光を示す材料を開発し、構造物表面に塗布できる塗料化に成功した。開発した応力発光体は、粉末状のセラミックス微粒子で、個々の微粒子それぞれが力学的信号を光信号に直接変換するセンサーの働きをしてミクロスケールの現象を検出する仕組み。これまで検出不可能だった亀裂先端の応力集中も可視化でき、亀裂の発生場所と危険レベルを同時に検知できることを確認している。 同研究所は、企業などと連携して実証試験を進め「構造物の安全・安心をモニタリングする安全管理ネットワークシステムの開発を目指したい」としている。 詳しくはこちら |  |
新技術で可視化したステンレス試験片の微細な疲労亀裂例(提供:産業技術総合研究所) |
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