日本実験棟「きぼう」使い最大長の「液柱」形成に成功
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月3日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」での宇宙実験で地上では実現できない長さが60mmの「液柱(えきちゅう)」を作ることに成功したと発表した。
 液柱とは、円柱状の液体のこと。地上では、重力が作用して円柱(液柱)を変形させてしまうため長い液柱が作れない。60mmの液柱形成は、地上では実現しえないもので、その詳細・鮮明なデータが世界で初めて得られたという。
 今回の液柱形成実験は、「マランゴニ対流」と呼ばれる地上では測定の難しい対流現象を詳しく観測するため、JAXA筑波宇宙センター(茨城・つくば市)からの遠隔操作で行われた。
 マランゴニ対流は、表面張力対流とも呼ばれる表面張力の違いを原因とする対流現象で、液柱の両端に温度差を与えると起こり、この現象を詳細に解明することにより高品質・高性能な結晶などが開発できると期待されている。しかし、地上では、マランゴニ対流によって起こる様々な現象を体系的に調べるのに必要な長い液柱ができないため、これまで研究が困難だった。
 液柱形成は、「きぼう」での初めての科学実験として今年8月からスタートしている研究テーマ「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」の一環として行われたもので、今後継続して行われる実験から「多くの新しい科学的知見と成果が得られるはず」とJAXAでは期待している。

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