直径僅か5~200nmの高分子ナノワイヤーを作製
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は9月30日、有機分子が分散した高分子膜にパルスレーザーの光強度を最適化して集光照射すると、高分子のナノワイヤーが生成されることを発見、さらに、超高速度カメラで高分子ナノワイヤーの成長過程を時間分解測定することに成功したと発表した。
  ワイヤー材料の高分子フィルムの中にレーザー光を吸収するクマリン、ペリレンなどの有機分子を分散させておき、これに波長440nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)、のパルスレーザー光を、対物レンズを用いて集光照射すると、分子が光励起されると共に、そのエネルギーによって直径が5~200nm程度、長さ10~2000µm(マイクロメートル、1µmは100万分の1m)程度の極めて細い高分子ナノワイヤーが生成された。
  この生成プロセスを解明するために、超高速度カメラ、CCD(電荷結合素子)カメラによる測定を行ったところ、生成時間は約100万分の1秒で、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)やポリスチレンなど試みた4種類の高分子全てのナノワイヤー生成が可能なことが分かった。
  このナノワイヤー作製手法を用いると、サイズや長さの異なる高分子ナノワイヤーを大気中のドライプロセスで非常に簡単に生成でき、多品種の高分子材料を利用できることから、物性研究や各種光学・電子デバイス、超高感度ナノセンサーなどへの広範囲な展開が期待されている。

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高分子ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡写真。実物の直径は約100nm、全長は同10µm(提供:物質・材料研究機構)