(独)農業環境技術研究所は9月30日、遺伝子組換えダイズとツルマメとの自然交雑の栽培実験を行った結果、自然交雑は極めて起こりにくいことが判明したと発表した。
一般に、ダイズやその近辺野生種であるツルマメは、同じ花の中で受精する性質(自殖性)が強く、花粉が他の花へ移って受精(他殖)する可能性は極めて低いことが知られている。このため、遺伝子組換えダイズと日本に自生する在来ツルマメの自然交雑率は、極めて低いと考えられているが、同研究所は両種の自然交雑率についてのデータをさらに収集する目的で、つくば市(茨城)にある同研究所の一般試験ほ場で、平成17~19年の3年間にわたって除草剤グリホサート耐性遺伝子組換えダイズ「40-3-2系統」と、ツルマメとの自然交雑の栽培実験を行った。
平成17年の調査では、両種をからみつくほど近づけて栽培する混植区を設け、組換えダイズとツルマメの開花ピークを近づけて交雑しやすい条件を設定したところ、ツルマメから採取の種子から出芽した32,502個体中交雑している1個体が得られた。
平成18、19年の調査では、混植区に加えて、組換えダイズから2、4、6、8、10m離してツルマメを栽培する距離区を設けた。平成18年の調査では、開花期の異なる組換えダイズを用いたところ、混植区・距離区ともに交雑個体は認められなかった。
平成19年の調査では、開花期の遅い組換えダイズの品種を用いたところ、両種の開花期が3年間の実験の中で最も近くなった。その結果、混植区では25,741個体中に交雑個体35体、また距離区(66,671個体)では、組換えダイズから2、4、6mの距離区での交雑個体はそれぞれ1個体で、8、10mの距離区では認められなかった。
今回の研究で、両種の開花期がある程度重複し、両種をごく近くで栽培する条件の下でも、自然交雑が生じる頻度は1000分の1程度以下であるという結果が得られた。
また、実際の自然条件下において自然交雑が生じる頻度は、これよりさらに小さくなるものと考えられるとしている。
No.2008-38
2008年9月29日~2008年10月5日