(独)物質・材料研究機構は5月21日、高強度でかつ成形性に優れた超鉄鋼のワイヤー(線材)を連続生産する新圧延プロセスの開発に成功したと発表した。
鉄は、縦横から潰すと超微細な結晶粒が生成して高強度な超鉄鋼になることが知られている。今回の新圧延プロセスは、「温間多方向コンパクト圧延プロセス」と呼び、市販されている普通の線材に約500ºCの温度下で多方向圧延、すなわち縦横からの圧延を連続的に加えて高強度・高成形性の超鉄鋼ワイヤーを連続生産するというもの。直径5.5nmの市販線材から同0.2~3nmの超鉄鋼ワイヤーを作ることができる。
得られる超鉄鋼ワイヤーの引っ張り強度は、1mm²当たり100kg以上と非常に強い。試作した20kgの超鉄鋼ワイヤーからネジメーカーの協力を得て10万個の携帯電話用マイクロネジを試作し成形性が良いことも確認している。
このプロセスは、ワイヤーだけでなく薄帯板の製造にも使え、ネジのほかシャフト、ピンなど各種の部品の製造に幅広く利用できるという。
同機構では、今後この成果の技術移転を積極的に進めることにしている。
No.2008-20
2008年5月19日~2008年5月25日