月周回衛星「かぐや」搭載のカメラでアポロ15号の月着陸跡を37年ぶりに確認
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月20日、月周回衛星「かぐや(SELENE)」の地形カメラが米国のアポロ15号が1971年7月に月面に着陸した際に用いた着陸エンジンの噴射跡を確認したと発表した。アポロ15号の着陸用エンジンの噴射跡が観測で確認されたのはアポロ計画終了後初めてで、37年ぶりのこと。「かぐや」は、この写真を今年2月24日、高度約100kmの月を回る軌道から撮影した。
 アポロ15号は、アポロ計画では9回目の有人飛行で、4回目の月着陸ミッションとしてスコット船長ら3人が乗り組み、1971年7月30日に月の表面の「雨の海」を取り囲むアペニン山脈の麓のハドレー谷(全長80km、深さ300m)付近に着陸した。着月地点は、月の北緯26度07分、東経3度38分だった。「かぐや」の地形カメラは、アポロ15号の月着陸船が月面着陸の際に行ったエンジン噴射の影響で、約200m四方にわたって月面が変化している噴射跡(ハロー)を捉えることに成功した。月面には大気が無く、風が吹かないので、37年前に作られた地形がそのまま残っていた。
 エンジン噴射ハローの撮影と併せて、アポロ15号乗組員が撮影した写真と同じ風景を地形カメラの立体視画像から作成、地形カメラの観測精度が高いことを確認した他、ハドレー谷の上部に30数億年前に噴出した溶岩流が積み重なっている様子も分った。
 ただ、アポロ15号が月面に残してきた月面探査車や月着陸船の一部は、解像度が足りず、作成した画像には映っていないという。

詳しくはこちら

「かぐや」のカメラが捉えたアポロ15号着陸点付近のスナップショット(提供:宇宙航空研究開発機構)