(独)産業技術総合研究所(産総研)は5月19日、書き換え回数が1億回以上ある強誘電体NAND型フラッシュメモリーを東京大学と共同で開発したと発表した。現在のNAND型フラッシュメモリーの書き換え回数は1万回なので、新開発のメモリーは寿命が1万倍以上長いことになる。書き込み電圧も今の約20Vに対して6V以下。次世代の大容量メモリーは勿論、磁気記録のHDD(ハード・ディスク・ドライブ)に替わる小型軽量で外的衝撃に強いSSD(ソリッド・ディスク・ドライブ)としての利用も期待される。 フラッシュメモリーは、電気的にデータの読み書きが出来るメモリーで、電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリーの仲間。データを一括消去出来るのが特徴だ。今回、研究者は、種物資にレーザー光を照射し、蒸発した物質をシリコン半導体基板上に堆積させる方法で、まずハフニウムとアルミニウムの酸化膜を作成。その上に強誘電体のストロンチウム、ビスマス、タンタルの酸化膜を積み、さらに金属膜を製膜することで、上から金属-強誘電体-絶縁体-半導体が積み重なった形のゲート構造を持つNAND型強誘電体フラッシュメモリーの基本単位(セル)を作った。 フラッシュメモリーは、このゲート電極に外から加える電圧で強誘電体の電気分極の向きを変えることで情報を記憶する。研究者は、この試作メモリーセルの種々のデータを採り、1億回以上の書き替えに耐えられることを確認した。 また、今度の製法では、隣り合うメモリーセル間の容量結合雑音が生じないので、30nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)までとされるフラッシュメモリーの微細化の限界を20~10nmまでもっていけるという。
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強誘電体NAND型フラッシュメモリーの基本単位であるセルの光学顕微鏡写真(提供:産業技術総合研究所) |
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