(独)農業・食品産業技術総合研究機構は10月3日、すっきりした味わいの日本酒ができる温暖地向け酒米(さかまい)の新品種「みずほのか」を育成したと発表した。
「みずほのか」は、酒米として必要とされる大粒(たいりゅう)で、心白(しんぱく=精米した米粒の中央に見られる白い不透明の部分)が大きく、多収で栽培しやすい、といった形質の他、人の体内で消化され易いグルテリンというタンパク質組成の割合が低いという特徴を持っている。
グルテリンは、米に含まれる主要なタンパク質だが、突然変異でグルテリンを半減させる遺伝子が見つかっている。この遺伝子を用いグルテリンを半減させた米が低グルテリン米と呼ばれる。グルテリンが減少する分、消化され難いプロラミンというタンパク質が増加するので、人体にとって低タンパク質米と同じ機能をするとみられている。
一般的に日本酒醸造に用いる米は、低タンパク質の方が雑味の少ない良質の酒を造ることができる。これまで近畿中国四国地域の温暖地で栽培しやすい低グルテリン形質をもった酒米はなかったが、今回初めて「みずほのか」を育成した。
水稲「みずほのか」は、低グルテリン米「エルジーシー1」と酒造好適米「兵庫北錦」の交配種から育成された低グルテリン形質を持った酒造好適米で、「みずほのか」を用いて醸造すると、アミノ酸度が低い、すっきりとした味わいの清酒を醸造することができた。
原料米の利用効率も高く、製造コストを低下させることができるため、酒造メーカーから実用化の要望が強く、品種登録申請を行い広く普及できるようにした。
No.2007-39
2007年10月1日~2007年10月7日