(国)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は1月6日、寒冷地での栽培に適し、良質の食用油が得られ、油を搾った後に残るミール(絞り粕)が家畜の飼料に使えるナタネの新品種「きらきら銀河」を開発したと発表した。
ナタネは、重要な油料作物。新品種の「きらきら銀河」は、脂肪酸の一種であるエルシン酸を含まない油を採ることができ、かつミールが豚、鶏のエサになる。
エルシン酸は、これを多く摂取すると心臓に疾患が生じる恐れがあるとされ、食用油には無エルシン酸のナタネが求められる。一方、ナタネから得られるミールは、グルコシノレートという有害物質を含むため飼料には向かず、主に肥料として使われている。
こうしたことから、エルシン酸を含まず、かつグルコシノレート含量が少ないダブルロー品種が求められており、新品種はその両方を達成し、東北地方や北海道などの寒冷地での栽培を可能にした。
新品種「きらきら銀河」は、海外の「CASCADE」と呼ばれるダブルロー多収品種に、現在東北地域で主に栽培されている寒冷地向きダブルロー品種の「キラリボシ」を交配し、選抜を重ねることにより開発した。
農研機構は、盛岡市(岩手)で行った栽培で「きらきら銀河」の面積当たりの収量、寒害抵抗性、含油率などが現用の「キラリボシ」をしのぐことを確認している。中でも違いの大きいのは収量で、「キラリボン」を3割以上も上回る収穫を得ている。

表は「きらきら銀河」の特性(平成22~25年の平均)。栽培地は盛岡市、総グルコシノレート含量のみ平成23~25年の平均(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)