
股関節の内転・旋動作と内転筋群 (提供:筑波大学)
筑波大学体育系の高木英樹教授らは11月17日、水泳のターン後のドルフィンキックが速い選手は、内股の内転筋の収縮が活発であることを突き止めたと発表した。この成果をもとに(株)デサントと新しい高機能水着を共同開発し、実着試験で平均2.4%の速度向上を実現した。
■新解析システムを開発し水中動作を計測
研究グループは、理想的な泳ぎを実現しやすい水着を開発するという考えのもと、トップスイマーの水泳動作の解析に着手した。しかし、水中での筋肉の動きは泡で見えないなどこれまで実現していなかった。
研究グループは、世界大会出場レベルの選手ら8人に、手から足にかけて高輝度の防水LEDをマーカーとして付け、同大が構築した水中動作と筋電解析のできる新解析システムを開発して、競泳中の振幅、頻度、時間、速度を精よく、長時間計測した。
その結果、ドルフィンキックの蹴り下ろし時に、股関節を内転、内旋させ、船のスクリューのように3次元的な回旋運動をしていることを発見した。速いキックには内転筋群をサポートし、いかに速く内転・内旋動作を繰り返せるかがカギになることが分かった。
この蹴り下ろし動作を支援するため新水着は、腰から内股にかけて新たに開発した伸長力の高いライトニングバンドを配置して蹴り下ろし動作をアシスト、蹴り上げ時の筋肉をサポートするため、大腿部の中央から臀部にも配置するなど工夫することで、キックの頻度を高めることができた。新しい水での計測の結果、8人中6人の速度がアップし、平均で2.4%増となった。
今後は、この研究成果をさらに進化させて、キック支援機能を高めた次世代水着開発に取り組むことにしている。