
完成したスーパーグロース法カーボンナノチューブ工場(提供:(国)産業技術総合研究所)
(国)産業技術総合研究所と日本ゼオン(株)、(国)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月4日、同研究所と日本ゼオンが開発したカーボンナノチューブ(CNT)の量産技術「スーパーグロース(SG)法」を採用した世界初の量産工場が日本ゼオンの徳山工場(山口・周南市)内に完成、稼働を開始したと発表した。
CNTは、直径が0.4〜0.6nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の超微細な炭素材料。中でもSG法によるSGCNTは、新機能性材料、次世代デバイスなどへの応用が期待され、アルミニウムの3〜4倍の熱伝導率を示すSGCNTとアルミの複合材料や、チタンや鉄並みの熱伝導率をもつSGCNT・炭素繊維・ゴム複合材料などさまざまな研究成果がすでに出ている。
産総研と日本ゼオンは、NEDOのプロジェクトとしてSGCNTの量産技術の研究開発に取り組み、得られた技術を使ってつくば市(茨城)の産総研内に量産実証プラントを建設。日本ゼオンは、2013年度からそのプラントを借り受け、生産したSGCNTを国内の研究機関や企業にサンプルとして提供するとともに、量産プラント建設を進めていた。
SG法は、微量の水分を含んだ原料ガスを使うところがポイント。その原料ガスを不活性なアルゴンガスが入った加熱炉内に供給し、金属触媒がコーティングされている基板上にCNTを成長させるという方法。合成されたSGCNTは、基板から容易に分離できるため、品質を損なうことなく炭素純度99%以上で簡単に回収できる。