(国)産業技術総合研究所は9月2日、(国)海洋研究開発機構、(株)環境総合テクノスと共同で国際標準化機構(ISO)に提案した海水のpH(ペーハー:水素イオン濃度指数)測定法が採択され、国際規格「ISO18191」として発行されることになったと発表した。地球温暖化対策の一つとして二酸化炭素(CO₂)の海底下地層貯留が研究されており、こうした貯留でのCO₂の漏えい監視など温暖化対策や海洋の酸性化研究などでの貢献が期待される。
■地球温暖化対策や海洋研究での貢献期待
温室効果ガスであるCO₂の排出量削減法として火力発電所など大規模発生源からのCO₂を大気から隔離された場所に貯留する「二酸化炭素回収貯留(CCS)」が注目され、世界各地で商用運用や実証実験が行われている。
わが国では、北海道の苫小牧沖で海底下の地層中に貯留する海底下地層CCSの実証試験が進められているが、海底下地層CCSで必要不可欠なのが海水中のCO₂濃度のモニタリング。
海水のPHは、溶存するCO₂濃度の増加に伴って低下する。今回、国際規格に採択された測定法で海水のpH変化をウオッチすることで、海水中のCO₂濃度の監視が行なえる。
国際規格となった測定法は、分光光度計を利用して色の濃さを比べる比色法を利用した方法で、「メタクレゾールパープル」と呼ばれる指示薬を使い、それを海水に加える前と加えた後の吸光度を精密に測定してPH値を求めるというもの。一般的な器具・装置で高精度な測定ができる。
産総研など3機関は、海底下地層CCSの実証試験現場でのモニタリング観測実証試験などを通じてこの国際規格の効果的な活用方法を検討していくとしている。