藻類の微結晶の光反射特性明らかに
―光を有効利用する原理の解明にせまる
:筑波大学/広島大学(2015年9月1日発表)

 筑波大学と広島大学の研究グループは9月1日、藻類の細胞表面にある微結晶の光反射特性を明らかにすることに成功したと発表した。藻類が微結晶によって光を有効利用する機構を解き明かせそうだという。

 

■円石藻の円石を磁場で動かす実験で実証

 

 藻類の中には進化の過程で微結晶を細胞表面に配置するようになったものが多くある。その一つである植物プランクトンの円石藻は、円石(ココリス)と呼ばれる微結晶を持ち、光合成機能を有効に使うためにこれを利用している可能性が推測されてきた。しかし、科学的には解明されていなかった。

 円石藻がつくる円石は、炭酸カルシウムの円盤状の微結晶で、微結晶が複合体を成している。研究チームは今回、この円盤面の法線方向が磁力線に対して垂直となることを発見した。

 また、直径数μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)大の円石を、磁場を用いて水中で任意の方向に向かせることに成功、これを応用して円石の配向と光反射の強度分布を調べる手法を開発した。

 その結果、円石の円盤面に平行に入射した光は側方散乱が抑制され、円盤面に垂直に入射した光は強く散乱されることが明らかになり、円石が光を効率的に反射する方向を特定することに成功した。研究チームはこれにより藻が微結晶をどのように利用しているのかを解明する道が開けたとしている。

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図

円石藻の藻体と円石(ココリス)。左は、光学顕微鏡で見られる藻体表面の円石の様子(写真右上はモデル図)。左は、電子顕微鏡で得られた円石。炭酸カルシウム性の微結晶の複合体で、直径は2~3μm(提供:筑波大学)