(国)産業技術総合研究所と日本プラスチック工業連盟は7月6日、樹脂と金属などによる異種材料複合体の強度や耐久性を定量的に評価する特性評価試験方法を開発し、国際標準化機構(ISO)に提案していたが、このほど国際規格ISO19095シリーズとして発行されることになったと発表した。日本の省エネ技術や優れたモノ作りで、国際競争力が強化されると期待される。
■準備段階からわずか3年の短期間で達成
「軽いうえに、強靭で熱を伝えやすい」など、プラスチックと金属など性質の異なる物質を複合化して、双方の長所を引き出す革新的な複合材料の開発は日本の得意分野になっている。しかも産業界にも浸透し、異種材料を適材適所に配置するマルチマテリアル化が全盛になってきた。
こうした新材料への期待は、環境負荷に配慮し大幅な燃費向上が求められる自動車産業や航空機産業に強くなっている。ところが単一素材と違って、複雑な異種材料の接合特性や耐久性を評価する国際基準がなく、せっかくの日本の優越技術も産業や輸出に十分生かせずにいた。
経済産業省の委託を受け、産総研は「樹脂—金属異種材料複合体」の特性評価方法の研究開発を担当。これを受けて日本プラスチック工業連盟は規格開発やISOへの提案などを分担した。2年前に欧米先進国に働きかけて今年5月に最終案が承認され、準備段階からわずか3年の短期間で新規の規格の発行に漕ぎつけた。
国際標準のイニシアチブを握ったことで、日本の産業界のもの作りが有利に働くとみられる。これに続いて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と金属の接合特性の新たな規格の提案も検討している。