(国)産業技術総合研究所は7月9日、「光コム」という櫛の歯状をしたパルス光を出力する2種のレーザーから成る分光装置を開発し、超高速・高精度なガス検出・同定に成功したと発表した。分解能が従来法より2ケタ高く、短時間で測定できるため、環境中やエンジン内、呼気中などに含まれる複数種のガスの高精度分析が可能で、幅広い分野での活用が期待できるという。
■従来法より2ケタ高い分解能実現
開発したのは「デュアルコム分光装置」という、光コム2台から成る分光測定装置。光コムでは、細いスペクトル成分(櫛の歯状パルス)が、等しい周波数間隔で多数並んでいるが、この間隔がわずかに異なる2台の光コムの干渉を利用して、試料の吸収スペクトルを取得し、ガス成分を分析・計測する。
研究チームは産総研独自開発の高性能な光コムを用いることによって、今回の成果を得た。ガス分析法としてはフーリエ変換赤外分光法があるが、これと比較して2ケタ高い分解能を実現、また、データ処理法を工夫し、デュアルコム分光装置としては最大の測定波長帯域を実現した。
新装置は使用目的に合わせて波長帯域、感度、測定時間などを最適化できることから、環境、エネルギー、医療など各分野での複数種のガス分析などに有用という。