優れた耐久性確認―太陽電池用シリコーン封止材
―4カ月の耐久試験で、初期出力の99%以上を確保
:産業技術総合研究所/信越化学工業(2015年6月22日発表)

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高温高湿試験3000時間までの出力推移(提供:(国)産業技術総合研究所)

 (国)産業技術総合研究所は6月22日、信越化学工業(株)が開発したシリコーン封止材を使って太陽電池モジュールの評価試験を実施し、過酷な環境でも優れた耐久性が確かめられたと発表した。

 

■高温高湿度下での4カ月の曝露試験クリア

 

 太陽電池はモーターのような可動部がないため通常は寿命が長いといわれる。20年以上の発電能力があり、無人灯台などに使われたものは40年たっても十分に機能している。しかし日夜風雨に晒され、季節変化で極端な温度差を受けることや、海上、沿岸部では塩害や水漏れなどの影響も受けやすい。ニュースでは、太陽光を電気に変換できる性能の高さが紹介されるものの、設置家庭や発電業者にとって長寿命安定化は最も重要視されている。

 産総研は、多結晶p型シリコーン太陽電池セル42枚を直列に接続し、セルすべてを信越化学の開発したシリコーン封止材で覆い固めた。それを裏面に基盤を、表面はガラスで挟んだ実用サイズのモジュールを作成し、佐賀県鳥栖市の産総研九州センターで耐久性を確かめた。

 温度85℃、湿度85%の高温高湿条件で約4カ月(3000時間)テストした結果、出力は99.8%とほとんど劣化がなかった。またマイナス40℃から85℃の幅で600回繰り返す昇温降温でも99.1%と安定していた。

 国の認証試験の基準は、同じ条件の高温高湿試験、温度サイクルで初期出力の95%以上が要求されるが、この基準を十分にクリアした。

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