「ストラメノパイル生物群」に入る新種を発見
―大きな系統群での初期に位置する単細胞生物
:筑波大学(2015年6月19日発表)

図

発見された新種の生物の光学顕微鏡写真。2本の鞭毛をもち、移動する(提供:筑波大学)

 筑波大学生命環境系の石田健一郎教授の研究グループは6月19日、「ストラメノパイル生物群」と呼ばれる一群に入る新種の単細胞生物を発見したと発表した。これは、ストラメノパイル生物群の中で最も初期に枝分かれした生物の一つとみられる。

 

■期待される初期進化の解明

 

 ストラメノパイル生物群は、10億年前に誕生したと考えられる真核生物(細胞の中に細胞核を持つ生物)の主要分類群の一つ。6つの大きな系統群からなり、その中には、コンブ・ワカメなどの褐藻類から、植物プランクトンなどの珪藻類やバイオ燃料の原料として注目されているラビリンチュラ類と呼ばれる海洋微生物など、地球環境や人間の生活に重要な生物が数多く含まれている。しかし、それらの多様な生物がどのように枝分かれし進化してきたのかは、まだよく分かっていない。

 今回発見した生物は、太平洋上のパラオ共和国の海水中から採集した。光学顕微鏡下で短い前鞭毛と長い後ろ鞭毛を使って移動する様子が観察された。

 石田教授らの研究グループは、透過型電子顕微鏡による観察で、この生物の鞭毛装置と呼ばれる構造が、これまでの既知のストラメノパイル生物のものとは異なることを確認し、分子系統解析からこの生物がストラメノパイル生物群の中で最も初期に枝分かれした生物の一つである可能性があることを突き止めた。

 研究グループは、この生物の発見によって謎の多いストラメノパイル生物群の初期進化の解明が期待されるという。

詳しくはこちら