国土交通省の国土技術政策総合研究所は3月24日、下水汚泥から次世代エネルギーの水素を製造する世界初の実規模レベルの施設が福岡市中央区の福岡市中部水処理センターに完成、稼働を始めると発表した。
下水処理場では、下水バイオガスと呼ばれるメタンガスが発生するが、その約3割は余剰ガスとして焼却処分されている。
国交省は、その余剰の下水バイオガスに着目、同省が進める「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェジュト)」の一環として、燃料電池自動車に使える水素を得る実用技術の開発を2014年度から三菱化工機(株)、福岡市、九州大学、豊田通商(株)からなる共同研究体に委託。今回「下水バイオガス前処理技術」、「水素製造技術」、「水素供給技術」を組み合わせたシステムが完成したもの。
完成した施設は、下水バイオガスから膜分離装置で二酸化炭素を除去して高濃度のメタンガスを回収、水蒸気とメタンの反応(水蒸気改質反応)により水素を製造する仕組みで、1日の水素回収量は約3300N㎥(ノルマル立法メートル)。この量で水素自動車を約65台走らせることができるという。
共同研究体は、今後この初の実規模レベルの施設を使って製造から供給までを含めた一連の水素製造装置の性能評価、供給水素の品質評価、エネルギー創出効果の実証などを行っていく。