宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は3月26日、政府の情報収集衛星「光学5号」をJAXA種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)からH-ⅡAロケット28号機で打ち上げ、軌道に乗せるのに成功したと発表した。これでH-ⅡAロケットの衛星打ち上げは連続22回成功、打ち上げ成功率96.4%(28回で失敗1回)をマーク、わが国最強の衛星打ち上げロケットとして、世界の衛星商業打ち上げ市場での競争力を高めた。
■連続22回、96%の成功率
日本の情報収集衛星システムは国の安全確保や大規模災害への対応等のために内閣衛星情報センターが運用を担当。その中核である衛星システムは、1個ずつの「光学衛星」と「レーダー衛星」を組み合わせたペア2組で構成されている。「光学衛星」は昼間に地表の様子を高性能デジタルカメラで撮影、「レーダー衛星」は光学観測のできない夜間や雨天などの悪天候時に合成開口レーダーで地表の監視を行う。
これら情報収集衛星の搭載機器性能や軌道要素などは公表されていないが、平成21年度の研究開発以来、これまでに何度も性能向上に努めた結果、今度の「光学5号」の識別可能物体の大きさは30~40cm程度に達しているとみられている。レーダー衛星の分解能は光学衛星よりは劣るとされるが、平成25年4月に整ったペア体制は、地球のどこでも1日1回以上の撮影が可能といわれる。
今回の「光学5号」は平成21年11月に打ち上げられた「光学3号」(設計寿命5年)に替わる後継機となる。三菱重工(株)は発射準備に必要な設備の増設など行い、前回の打ち上げからわずか五十余日で今回の打ち上げを実施、H-Ⅱロケットの単年度(平成26年度)打ち上げ機数5機を達成した。これは過去最多の記録で、このうち4機がここ半年内に行われた。
政府は平成27年度からの新宇宙基本計画に10年間で合計8機(光学系4機、レーダー系4機)情報収集衛星の後継機打ち上げを盛り込んでいる。