木星の「オーロラ爆発」は自身の高速自転が原因
―惑星分光観測衛星「ひさき」の観測で判明
:宇宙航空研究開発機構(2015年3月25日発表)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月25日、同機構が打ち上げた人工衛星「ひさき」による観測で、木星のオーロラ爆発(オーロラの突発的な増光)を捉え、その爆発現象が木星自身の高速自転によって引き起こされていることを世界で初めてつかんだと発表した。

 

■オーロラ爆発現象の連続観測に成功

 

 木星は、太陽系の惑星中、大きさ、質量ともに最大で、国立天文台によると、これまでに67個もの衛星が見つかっている。その中の一つ「イオ」と呼ばれる衛星からは、毎秒約1tのプラズマが放出され続け、木星では「イオ」由来のプラズマや太陽風などの相互作用によって常時オーロラが発生している。

 しかし、地球で見られるようなオーロラ爆発は、断片的にしか観測されていない。このため、木星のオーロラ爆発の原因が地球のように太陽風にあるのか、それとも木星自身にあるのか、これまで分かっていなかった。

 JAXAは、次期固体燃料ロケット「イプシロンロケット」で、2013年9月に打上げた惑星分光観測衛星「ひさき」を使い、今回その木星のオーロラ爆発が木星自身の高速自転で起きていることを捉えた。

 木星は、地球の1000倍以上もの強い磁場を持ち、その磁場は木星とともに高速で自転(1周約10時間)している。JAXAの研究チームは、「ひさき」を用いた木星の長時間連続観測で、太陽風が静かなときにも木星のオーロラが突然明るくなる爆発現象を連続的に捉えることに成功、「オーロラ爆発が木星の磁力と高速自転によって引き起こされることを示唆している」という。

 この研究成果は、米国の地球物理学会誌「Geophysical Research Letters」に掲載される予定。

詳しくはこちら