(独)農業・食品産業技術総合研究機構は10月23日、水田に種を直接播く直播(じかまき)栽培ができ、10a(アール、1aは100㎡)当たり690kgと多収で食味のよい水稲新品種「ちほみのり」を開発したと発表した。
米作りは、一般に苗を育ててから水田に移植する作り方をしているが、これからの米作りでは、省力・低コスト化の上から直播に適した品種が必要とされる。
新品種は、それに応えようと開発したもので、「倒れ難く、早生(わせ)で、多収で、『あきたこまち』と同等の良い味」を実現したという。倒れ難いため、肥料を多くしての多肥栽培が行なえ、多収を実現した。
稲は、肥料の投与を多くすると地上部全体が大きくなり、米の収量は増えるものの、草丈が長くなって倒れやすくなる。このため「あきたこまち」などでは、標肥栽培といって倒れない程度の標準的な施肥量で栽培されている。「ちほみのり」は、多肥栽培でも倒れず、「あきたこまち」に比べて1~3割収量が多い。
現在、秋田県の一部産地でこの「ちほみのり」を500ha(ヘクタール、1haは1万㎡)栽培する計画が進められている。

栽培方法ごとの倒伏程度と玄米収量(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)