洋上油井・ガス井からのメタンの漏出、船からの観測で確認
:国立環境研究所(2014年10月24日発表)

 (独)国立環境研究所は10月24日、温室効果ガスの一つメタンの漏出がマレーシアやインドネシアの沖合の洋上油井で起こっていることを船舶からの観測で確認したと発表した。

 メタンは、二酸化炭素(炭酸ガス)に次いで2番目に大きい温室効果を持つガスで、グローバルな排出量は年間5.5億tと推定されている。しかし、メタンは、短寿命気候汚染物質(SLPC)の一つで、大気中の寿命が9年と短いため、濃度分布が不均一になりやすく、発生源の分布も一様でなく、特に海洋上の排出源は把握することが困難とされている。

 そこで同研究所は、鹿児島船舶(株)、トヨフジ海運(株)の協力を得て、日本―オセアニア航路と、日本―東南アジア航路でメタンなどSLPCの長期観測を続けている。今回の観測もその一環として行われたもので、顕著なメタンの濃度増大(ピーク)が東南アジア海域で多く観測され、その場所がマレー半島の東沿岸部とボルネオ北西沿岸部の2つのエリアに集中していたという。

 メタンは、ガスフレア(ガス燃焼)、リーク(漏れ)、蒸発・飛散によって二酸化炭素と一緒に油井・ガス井から排出されるため、「観測されたメタンの濃度増大はこの海域における洋上油井・ガス井からの排出であったことが示唆される」としている。

詳しくはこちら