クラウド間の垣根を超え高性能計算環境を提供
―1度の設定で異なるクラウド上でも構築できる技術を開発
:産業技術総合研究所(2014年7月18日発表)

 (独)産業技術総合研究所は7月18日、高性能計算機をさまざまなクラウド上に簡単に構築する技術を開発したと発表した。この技術により、これまで高性能計算を活用できなかったユーザーなども利用できるようになり、産業競争力の強化に向けた貢献も期待されるという。

 

■実証ずみ、「この技術以外にない」

 

 現在広く普及しているクラウドでは、1台のコンピューター上にソフトウエアによって仮想計算機を形成して計算能力をアップすることができ、仮想計算機を束ねたクラスタ型計算機にして使えるまでになっている。

 しかし、ユーザーは、クラウドが異なるとソフトウエアのインストールや設定などをやり直さないとならず、1度構築した計算機の環境を別のクラウド上に新たに構築するには時間と手間と費用がかかる。

 新技術は、その壁を破ったもので、アプリケーション(応用プログラム)の実行環境を1度作ればどんなクラウド上でも仮想計算機を構築でき、「計算の規模に応じた台数の計算機を持つ仮想クラスタ型計算機をさまざまなクラウド上で構築できる」(産総研)という。

 産総研は、クレイ社(米国)製のコンピューター155台で構成される同研究所内のプライベート・クラウド「AIST・スーパー・グリーン・クラウド(ASGC)」上にこの新技術による仮想クラウド型計算機を構築し、それがアマゾン社(米国)の商用クラウドサービス「Amazon EC2」でも使用できることを実証している。

 産総研は、「われわれが知る限り、異なるクラウド上で仮想クラスタ型計算機を構築できる高性能計算クラウドサービスは今回の技術以外にはない」と明言。

 産総研は、今後、国内の大学や公的機関のアカデミック・クラウドや国外の研究組織と連携して仮想クラスタ型計算機に関する実証実験を実施し、ASGC上での実運用サービスを行うとともに、クラウドサービス提供企業などへの技術移転を行うなど、ユーザーや適応できる分野の拡大を目指すという。

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