白色LED用蛍光体の開発に向け新手法を確立
―微粒子1個の情報から新蛍光体を合成、期間も大幅短縮
:物質・材料研究機構(2014年7月15日発表)

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「単粒子診断法」による新蛍光体開発の流れ(提供:物質・材料研究機構)

 (独)物質・材料研究機構は7月15日、白色LED用の蛍光体を、100分の1mm程度の微小な粒子1個の情報を用いて開発できる新手法を確立したと発表した。新蛍光体の開発スピードを大幅に高められる成果で、蛍光体の性能向上やそれを用いた白色発行ダイオード(白色LED)の新用途開拓が期待できるという。

 

■既に40個以上の新蛍光体作る

 

 白色LEDは、青色あるいは紫外光LEDと蛍光体とを組み合わせることで昼光色や昼白色、電球色など、より自然に近い光の色を実現した照明器具。用途の拡大に伴い、発光色、発光強度などでさらに高性能な新しい蛍光体が求められているが、現行の開発手法では均一な粒子を得たり、結晶解析用の大きな粒子を得たりすることに多大な労力と時間を要し、新規物質の開発は極めて困難になっている。

 研究チームは今回、合成した粉末の一粒から、蛍光体開発に必要な結晶構造、組成、発光特性などの情報を得られる一連の技術、手法、装置類を開発し、大きな単結晶を作らなくても必要な情報が得られる「単粒子診断法」と名付けた手法を確立、新蛍光体を得るための最終的な粉末大量合成までの期間を大幅に短縮した。

 この手法を用い、これまでに黄色蛍光体と青色蛍光体を開発するとともに、40個以上の新しい蛍光体を見出したという。白色LEDの新用途に向けた展開が期待できるとしている。

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