温室効果ガス排出量、前年度を2.8%上回る
―2012年度確定値、5年平均では京都議定書の目標達成
:国立環境研究所/環境省

 (独)国立環境研究所と環境省は4月15日、わが国の2012年度の温室効果ガス総排出量が13億4,300万t(二酸化炭素換算)だったとする確定値を発表した。これは、前年度比2.8%増となった。ただ、2008年から5年間の平均排出量は、森林等吸収源による吸収量や海外からの排出量購入分などを含めると、1990年度比で目標の6%減を上回る8.4%減となり、京都議定書で約束した削減目標は達成できたことになる。

 

■化石燃料消費の増加が影響

 

 2012 年度の温室効果ガス確定値は、速報値(2013年11月発表)の13億4,100万tを上回り、前年度の13億700万tに比べて2.8%増だった。
 前年度に比べて総排出量が増えたのは、火力発電による二酸化炭素の排出量が増加したことなどが原因としている。製造業の生産量減少や家庭での節電が進んだ一方で、東日本大震災や原発事故の影響によって化石燃料の消費が増えたことなどが影響しているとみられる。
 国連の気候変動枠組条約に基づく京都議定書では、1990年度を基準年として日本は2012年度までに6%削減すると約束した。しかし、今回まとめた2012年度の総排出量は基準年比で6.5%増となり、2008~2012年度の5年平均でも12億7,800万tと基準年比1.4%増となった。
 ただ、京都議定書では、森林吸収源対策や都市緑化、海外との排出量取引などによる温室効果ガスの総排出量削減が認められている。2012年度は森林などによる吸収量の増大が5,280万t、5年平均では4,870万tで、これに排出量取引分を含めると、5年平均の総排出量は基準年比で8.4%減となり、目標削減量を上回った。

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温室効果ガス排出量の基準年及び前年度との比較(提供:国立環境研究所)