メカニズム解明へ地震による吊り天井脱落を再現
―E‐ディフェンス使い最大規模の震動実験
:防災科学技術研究所

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建設を進める18.6m×30m、バスケットコート1面分の大きさを持つ巨大試験体(提供:防災科学技術研究所)

 (独)防災科学技術研究所は1月7日、東日本大震災の際に学校の体育館など大規模空間に取り付けられた吊り天井の脱落被害の再現実験に取り組むと発表した。兵庫県三木市にある実大三次元震動破壊実験施設(E‐ディフェンス)を使って世界最大規模の天井面積を持つ模擬体育館を震災時の地震動と同じ波形で震動させ、天井脱落被害のメカニズムを解明して耐震性の向上に役立てる。1月28日に1回目の実験を実施する。

 

■震度6強の地震で揺らす

 

 東日本大震災では多くの天井脱落被害が発生したのを受け、昨年7月には建築基準法施行令が改正されて天井脱落防止対策が義務づけられた。今回の実験は、そのための被害軽減技術や具体的な対策を提案することを目的に始まった「学校施設における大空間建築物の実験研究プロジェクト」の一環として実施する。
 E‐ディフェンスは防災研の兵庫耐震工学研究センターにある大型震動装置で縦15m、横20mの大型震動台を持つ。実験では、この震動台よりさらに大きい18.6m×30m、最大高さ9.1mの山形屋根を持つ模擬体育館を震動台に載せて揺らす計画だ。バスケットコートなら一面、バレーコートなら二面確保できる大きさで、E‐ディフェンスによる実験ではこれまで最大規模となる。
 この模擬体育館に屋根面と同じ勾配で吊り天井を取り付け、東日本大震災の時に震源から170km離れた宮城県仙台市で観測された震度6強の地震動波形で揺らす。これによって吊り天井が破壊される様子を再現する計画だ。
 吊り天井については、国土交通省が2001年に発表した技術的助言よりも前の考え方で設計・施工されたものを想定、厚さ9.5mmの石こうボードと9mmの岩綿吸音板を組み合わせたものを使うなど、既存建物で広く採用されているものとする予定だ。

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