
ゲノムを解読した品種「フランセスコ」(提供:花き研究所)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)花き研究所、かずさDNA研究所、東京農工大学、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は12月18日、共同で赤いカーネーション「フランセスコ」の全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと発表した。今回、共同研究グループは、このカーネーションが持つ約4万3000個の遺伝子を明らかにし、花の色や花持ちに関与する遺伝子を多数発見した。
■新品種の開発・育成がスピードアップ
カーネーションは地中海沿岸が原産で、日本では年間3億1000万本(平成24年度)と2番目に出荷の多い花である。花き研究所は今回、カーネーションの新品種育成とその効率化のため、これまでカーネーション研究で成果を上げてきた産学官4研究機関共同でカーネーションの全ゲノム解読に挑戦した。美しさを愛でる花きのゲノム解読は、世界で初めてという。
対象に取り上げたのは、日本で生産量の多い「フランセスコ」という赤いカーネーション。そのゲノムを解読した結果、推定されるゲノム全体の91%の解読に成功、このカーネーションは約4万3000個の遺伝子を持つことが明らかになった。この中にはこれまで、その存在が知られていなかった、花の色に関する遺伝子、花の持続にかかわる遺伝子、花の病気抵抗性に関する遺伝子、花の香りに関与する遺伝子など、新しい遺伝子が多数発見された。
また、これら遺伝子の働きを制御する遺伝子や花の模様形成に係わる遺伝子も新たに見つかった。こうした解読の成果を活用することで、これまで時間のかかっていた新しい品種の開発がスピードアップされるばかりでなく、病虫害に強い品種、香りの良い品種など、新しい価値を持つカーネーション品種の育成に大きく貢献すると期待されている。