
直噴ガソリン車と従来車の粒子個数の排出係数(提供:国立環境研究所)
(独)国立環境研究所は12月16日、ガソリンをシリンダー内に直接噴射する最近の直噴ガソリン自動車から比較的高濃度の微粒子が排出されることを確認したと発表した。欧州と国内メーカーの乗用車各1台を調べたところ、粒子個数の排出量は従来のポート噴射ガソリン車の10倍以上だったという。今後、詳細な排出実態調査や追加的な排気対策の検討が求められるとしている。
■国内、新型エンジンの約4割が「直噴」
乗用車の低燃費化に伴い、近年ハイブリッド車と同等の燃費性能を示す直噴ガソリン車が普及し始め、日本では2012年に国内メーカーから発売された主な新型エンジンの約4割に直噴式が採用されている。しかし、直噴ガソリン車の排出微粒子の詳しい状況はわかっていない。
研究チームは、2011年式の国内メーカーと欧州メーカー製の直噴ガソリン車各1台を選び、都市内の加減速走行を模擬した走行試験などを実施し、排出される微小粒子の個数、粒径分布、粒子の排出重量、排出粒子の組成などを調べた。
その結果、国産直噴ガソリン車からの粒子個数の排出量は従来車のガソリン車の10倍以上で、欧州メーカー車のそれは国産車よりもさらに約5倍多かった。欧州車の値は、欧州が2014年実施予定の規制値を下回ってはいるもののギリギリの値だった。欧州車、国産車どちらの値とも2017年に実施予定の欧州規制値は上回っていた。粒子個数についての規制は、日本にはない。
一方、いずれの車もディーゼル車で問題視されていた粒径30nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)付近の、いわゆる「ナノ粒子」の排出は少ないことが確認された。
排出粒子の重量については従来車より直噴ガソリン車は多いが、直噴ガソリン車に対する国内規制値よりは低い値だった。粒子の主成分は国産車では約8割、欧州車では約9割以上が元素状炭素、いわゆるススだった。
環境研では今回明らかになったことをもとに、今後さらなる調査、環境影響評価、排気対策の検討の必要性を指摘している。