新型ロケット「イプシロン」、8月22日初打ち上げ
―コスト半減、モバイル管制採用で運用人員も大幅減
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月21日、新開発の小型衛星打ち上げロケット「イプシロン」の試験機に惑星分光観測衛星「SPRINT-A」を搭載、8月22日に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)から打ち上げると発表した。「イプシロン」は小惑星探査機「はやぶさ」など打ち上げたM-Vロケットの後継機で、JAXAが205億円でIHIエアロスペースと共同開発した3段式固体ロケット。今回が初の打ち上げとなる。

 

■世界初の惑星観測宇宙望遠鏡打ち上げも

 

上はイプシロンロケットのイメージ図。下は「SPRINT-A」のイメージ図(提供:JAXA)

 「イプシロン」の特徴は、コストの低減にあるとされる。M-Vの打ち上げ費用が75億円に対して「イプシロン」は、量産すれば半分以下の30億円になるという。これには徹底的省力化と部品共通化で対処した。例えばロケット点検作業の自動化。ロケットの発射台への据え付けから打ち上げまで、従来は約6週間だったのを約1週間で済ませるようにし、打ち上げ直前の確認作業などをノートパソコンで管理する「モバイル管制」を世界で初めて採用、作業に携わる人数は100人近くから1桁に減る。
 開発費を抑えるため、1段目にはH-ⅡAロケットの補助ブースターを活用、2段目と3段目にはM-Vロケットの上段モーターを改良して用いた。JAXAは「イプシロン」で採用した新技術やシステムを、開発が決まっている今後の国産ロケットにも採用、よりコスト低減を実現し、世界の商業衛星打ち上げ市場での競争力強化を目指す。
 「SPRINT-A」は地球を回る衛星軌道から金星、火星、木星を遠隔観測する世界初の惑星観測用の宇宙望遠鏡で極端紫外線分光器などを搭載する。大きさは4×1×1mの箱型で、2枚の太陽電池を広げた時の幅は6m。重さは340kg。近地点950 km、遠地点1,150km、傾斜角31度、周期106分の軌道に乗せる計画。また、JAXAは同日、8月4日に種子島宇宙センター(鹿児島・南種子島町)からH-ⅡBロケット4号機で、飛行中の国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ補給機「こうのとり4号」を打ち上げることも発表した。

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