小麦ポリフェノールに肥満抑制効果
―活動の夜型化や体重増加、脂質の蓄積抑える
:産業技術総合研究所/日清製粉グループ本社/オリエンタル酵母工業

 (独)産業技術総合研究所は20日、(株)日清製粉グループ本社、オリエンタル酵母工業(株)と共同で、小麦ポリフェノールに肥満抑制効果があることをマウスの実験で発見したと発表した。小麦の表皮に含まれるポリフェノールに生体リズム(体内時計)の乱れや糖尿病にもつながるブドウ糖代謝能力の異常を抑える作用が認められたという。小麦の摂取が糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームなどの代謝異常の予防につながる可能性があるとしている。

 

■ブドウ糖代謝能力の低下を抑制

 

 実験は、食餌性肥満モデルマウスを用いて実施。マウスを3群に分け、普通食、高脂肪高ショ糖食、小麦ポリフェノール0.4%入り高脂肪高ショ糖食をそれぞれ10週間与えて飼育し、活動リズムと体重を測定、比較した。
 活動リズムは体内時計で制御されている生体リズムの一種で、昼夜の自発行動リズムや摂食行動リズムを指す。高脂肪食の摂取は活動時間帯の夜型化を誘発するとされている。
 実験の結果、高脂肪高ショ糖食で飼育したマウスは活動量のピークが夜間の後半にずれ込み、活動リズムの夜型化が観察されたのに対し、小麦ポリフェノールを混ぜた餌で飼育したマウスでは夜型化が見られず、小麦ポリフェノールに活動リズム改善効果があることが認められた。
 また、小麦ポリフェノール入り高脂肪高ショ糖食のマウスは、高脂肪高ショ糖食摂取マウスにみられるような体重増加も生じず、体重増加抑制効果も認められた。
 また、試験終了時に、糖負荷試験によって耐糖能(ブドウ糖代謝能力)を評価するとともに、肝臓組織を採取して脂質の蓄積を調べたところ、小麦ポリフェノールの同時摂取により耐糖能低下が抑制され、また、肝臓への脂質の蓄積抑制も認められたという。
 研究チームは、小麦ポリフェノールが持つこうした効果のメカニズムを今後、分子レベルで解明したいとしている。

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小麦ポリフェノールによる耐糖能低下の抑制効果(左)と小麦ポリフェノールによる脂肪肝の抑制効果(右)(提供:産業技術総合研究所)