(独)産業技術総合研究所は12月3日、高精細な赤外線カラー暗視撮影技術を開発したと発表した。暗闇でも鮮明なフルハイビジョン規格のカラー動画が撮れる。テレビ放送だけではなく、車載カメラ、防犯・監視カメラなどへの利用が考えられるという。 暗闇での撮影には赤外線暗視カメラが使われているが、これまではモノクロだった。今回産総研が開発したのは、赤外線だけを利用して、可視光で見た映像に近いカラー画像が撮影できる技術。 先に開発した赤外線撮影から物体の色を再現できる画像処理技術を発展させ、高精細なデジタル放送にも使える、高解像度の赤外線カラー動画が撮れる装置を開発した。 新技術は、被写体に赤外線を照射し、被写体から反射してきた赤外線を独自の高感度赤外線撮影技術により検出し、弱いながらも存在する物体の可視光領域における反射特性と赤外線領域における反射特性の関係に基づいて表色処理を行う。これによって可視光下での色と同一かそれに近い色によるカラー動画が得られる仕組みだ。 また、3個のCCD(撮像素子)を用いた3CCD方式の撮影技術を開発し、1秒間に30フレームの標準的なテレビカメラの撮影速度を実現した。画素数もハイビジョン化した。 この赤外線ハイビジョンカラー暗視カメラは、大きさや重さが既存の放送用ハイビジョンカラーカメラとほぼ同等で、可視光下では通常のハイビジョンカラーカメラとしても使えるという。 産総研は今後、この新技術を企業に移転し、性能、耐久性をさらに高度化して実用化を図る予定。小型化も進め、放送用カメラ以外への応用も目指したいとしている。
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開発した赤外線カラー暗視カメラで撮影した暗闇の中の被写体(提供:産業技術総合研究所) |
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