人工衛星「いぶき」使い全地球のCO2収支を推定
―環境研のホームページで観測データを公開
:国立環境研究所/環境省/宇宙航空研究開発機構

 (独)国立環境研究所と環境省、(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月5日、JAXAの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を使って宇宙から観測した全地球(全球)を取り巻く大気中の二酸化炭素(CO2)濃度データと、地上観測点の観測データを用いて全球の月別・地域別のCO2吸収排出量(収支)を推定し、環境研のホームページで公開したと発表した。
 衛星観測によるCO2濃度データを活用して全球のCO2収支を定量的に推定したのは、世界でも初めてという。
 「いぶき」は平成21年1月に打ち上げた世界で唯一の温室効果ガス観測専用衛星で、赤外線や近赤外線を使って大気中のCO2とメタンの濃度を宇宙から観測している。
 公開したのは、平成21年6月から同22年5月までの12カ月間の全球の月別と地球を64の地域に分割した地域別のCO2収支の推定結果。
 これまでCO2の吸収排出量の推定は、地上観測データだけで行われてきたが、「いぶき」の観測データを加えることでより精度の高い(不確実性の低い)CO2吸収排出量の推定値が得られたとし、「不確実性が地上観測データだけからの推定値にくらべ、年平均値で最大で40%程度低減され、吸収排出量の推定結果がより確実となることが分かった」と環境研はいっている。

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宇宙からCO2やメタンガスなどの濃度分布を観測する温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(提供:JAXA)