前年度比3.9%増の13億700万t排出
―2011年度の温室効果ガス、火力発電増加響く
:国立環境研究所/環境省

 (独)国立環境研究所と環境省は12月5日、2011年度のわが国の温室効果ガス排出量の速報値を発表した。総排出量は13億700万t(二酸化炭素換算)にのぼり、前年度に比べ3.9%増、京都議定書が定めた基準年である1990年比でも3.6%増となった。東日本大震災で工場などの産業部門からの二酸化炭素(CO2)排出が減る一方で、原発事故を受けて火力発電が増加したことなどが大きく影響したとみられる。
 地球温暖化に最も大きな影響を与えるCO2の総排出量は12億4200万t。前年度と比べると4.1%増の4930万増加し、基準年比では8.5%増の9750万t増えた。主に原子力発電所の運転停止で火力発電が増加したことが大きく影響した。
 CO2の排出量の内訳をみると、工場などの「産業部門」と自動車などの「運輸部門」がそれぞれ前年度比0.2%減、0.8%減となったのに対し、商業・サービス・事業所などの「業務その他部門」が14%増、「家庭部門」が9.7%増と大幅に増加した。また、発電所など「エネルギー転換部門」も6.1%増となった。
 温室効果ガスの削減に関しては、京都議定書でCO2やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)について1990年を基準年と定め、わが国は2012年までに基準年比6%減を約束している。ただ、今回の速報値は、森林による温室効果ガスの吸収効果などは計算に入れていないため、京都議定書の約束との直接対比はできないとしている。 
 速報値の算定は各種統計の年報データなどを用いるが、現段階で2011年度のデータが出ていない場合は2010年度のデータを代用した。このため、2013年4月に最終報告される確定値とは異なる可能性もあるという。

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