(独)農業生物資源研究所(生物研)と岡山大学は10月18日、両機関の研究者が参加する研究組織「国際オオムギゲノム配列決定コンソーシアム(IBSC)」がオオムギのゲノム(全遺伝情報)の塩基配列を詳細に解読することに成功したと発表した。
ゲノムは、4種類の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)からなるDNA(デオキシリボ核酸)でできている。
農作物の分野では、イネをはじめ、大豆、トウモロコシなど多くの作物でDNA中の塩基の並び順(ゲノム塩基配列)の解読が既に終わっている。
しかし、コムギ、イネ、大豆、トウモロコシに次ぐ世界で5番目に多い主要作物であるオオムギは、ゲノム塩基配列がイネの約13倍の51億個にもなり、その大部分が技術的に解読の難しい繰り返し配列で構成されているため、これまでごく一部の配列しか解読されていなかった。
IBSCは、その難物のオオムギのゲノム塩基配列解読を目的に2006年に結成された米国、ドイツ、日本など6カ国の研究者からなる国際研究組織で、日本から生物研と岡山大資源植物科学研究所の研究者が参加、今回、米国のビール用オオムギの標準品種「Morex」の49.8億個のゲノム塩基配列の解読に成功した。オオムギの全ゲノム塩基配列は、約51億個なのでその98%を解読したことになる。
オオムギ、パンコムギ、マカロニコムギ、ライムギは、遺伝子の塩基配列の共通性が高いと考えられていることから、「今回の研究成果はオオムギだけでなくムギ類全般の遺伝子の構造や機能の解明につながる」と生物研は期待している。
IBSCは、オオムギのゲノム塩基配列を完全に決定するため、今後も残った部分の解読を続ける予定という。
No.2012-42
2012年10月15日~2012年10月21日