硫酸塩エアロゾルに含まれて大気中を移動
―福島原発事故で放出された放射性セシウム
:産業技術総合研究所/東京海洋大学/名古屋市環境科学調査センター

 (独)産業技術総合研究所と東京海洋大学、名古屋市環境科学調査センターは7月31日、昨年3月の東北地方太平洋沖地震の際起きた福島第一原子力発電所事故で放出された放射性セシウムは、硫酸塩エアロゾルに含まれた状態で大気中を運ばれた可能性が高いと発表した。
 研究グループは、同原発事故直後の昨年4月末からつくば市(茨城)の産総研つくばセンターでエアロゾル(大気中を浮遊する微小粒子)を13段階の粒径に分級して捕集。その結果、硫酸塩エアロゾルと放射性セシウムを含む粒子の粒径分布がほぼ同じであることが判明、放出された放射性セシウムを大気中で長い距離運ぶ担体は、硫酸塩エアロゾルである可能性が大きいとの結論を得たもの。
 測定された放射性セシウムを含む粒子の粒径が1986年のチェルノブイリ原発(旧ソ連、現ウクライナ)事故時に世界各国で測定されたそれと大差がないことも分かったという。産総研は、「チェルノブイリ原発事故で大気中に放出された放射性セシウムの輸送においても硫酸塩エアロゾルが主たる輸送担体であった可能性が示唆された」としている。

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