(独)産業技術総合研究所は8月2日、鹿児島大学、広島市立大学と共同で、動いている物体の形を接触せずに高速・高精度・高密度に計測する手法を開発したと発表した。物体表面の時々刻々変化する3次元形状を1秒間に30~2,000コマ計測でき、人間の運動解析・医療への応用、衝突による変形のような高速の事象の解析など、広い分野への利用が可能と産総研はいっている。 この新手法は、プロジェクターなどで対象とする物体の全面に5mm~1cm四方程度の格子パターンを投影し、そのパターン像をカメラで撮影、画像解析することでその瞬間の3次元表面形状を計測するというもの。撮影した瞬間の1枚の画像だけで3次元表面形状を1~2mmの誤差で得ることができ、高速度カメラを使えば非常に速く運動・変形する物体の測定も行える。 研究グループは、水槽の中で波を起こし、新手法を使ってその波を1秒間250コマの速度で撮影し、複雑に変わる波の3次元形状を捉えている。また、野球のバットでボールを打った瞬間のボールの形状変化を1秒間2,000コマの高速度で撮影、ボールの潰れる様子を得ることにも成功している。 研究グループは、今後さらに高性能な計算機を使い、撮影しながら3次元形状を得るリアルタイム計測を目指すとしている。 産業界では、キーボードやマウスを使わずにパソコンなどの電子機器を操作する「ナチュラルインターフェース」と呼ばれる新たな方法の研究開発が進んでいる。産総研は、形状計測をリアルタイムで行うことが可能になれば「ナチュラルインターフェースにブレークスルーをもたらす技術となる」といっている。
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波線格子パターンを投影してカメラで撮影、動作を計測する。上は入力画像、下が形状の計測結果(提供:産業技術総合研究所) |
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